氷川きよしが活動休止 周囲からの「変化はほどほどに」の言葉も影響か
昨年大晦日の『NHK紅白歌合戦』。「カラフル」というテーマに最も相応しい人物が、氷川きよし(44才)だったのではないか。紅や白といった単色には出せない鮮やかな輝きを放つ彼は多様性を重んじる現代を象徴する存在だ。そんな彼が、人知れず「限界」を迎えていた。突然の活動休止、その裏に何があったのか。
1月21日、氷川が、所属事務所及び、レコード会社の公式ホームページで今年いっぱいをもって歌手活動を休止することを突然発表した。理由は《自分を見つめなおし、リフレッシュする時間をつくりたいという本人の意向》だが、具体性に欠け、休止期間も明確にされていない。
この数年の氷川の姿は、「自分らしさを表現できている」という充実感で満ちていたように見えていた。だからこそ、突然の活動休止には違和感が拭えない。2019年、20周年記念シングルの発売記念イベントでは、氷川自身、こう語っている。
「自分のなかで20年間やったなと。“氷川きよし業”を務めて、“氷川きよし”という作品を作ってきた」
「これからはアーティストとして、なりたい自分になることが自分の人生。ますます自分らしく、自分に素直に」
氷川にとっての“ありのまま”とは、同年11月に開設されたインスタグラムで表現される姿を筆頭に、その後のステージやテレビ番組などでの振る舞いを見れば、自ずと知れるだろう。化粧、アイメイク、スカート、網タイツ、ウエディングドレスのような純白ドレス、「あたし」と自分を呼称し、愛称は「きよし」から「きーちゃん」へ──。
氷川本人は2019年の雑誌グラビアで、素肌に紫の羽をまとってアンニュイな表情を浮かべる姿を披露したことについて、「『ジェンダーを超えた自分らしさ』を特集してほしいと思っていたので、その夢が叶った」と喜んだ。
そんな氷川の変化に、水を差す人たちがいるのも事実だ。昨年9月、氷川の所属事務所はSNSで「芸能活動とは無関係なプライバシーに関して当人を侮辱、人格権を侵害する内容の投稿」が見られるとして、法的措置を検討すると明らかにした。
「誹謗中傷の内容は明らかにされていませんが、彼の外見を揶揄するものがあったようです。“演歌の貴公子”としての氷川さんを応援していたファンのなかには、氷川さんの自由な変化について行けずに離れ、アンチのような発言を繰り返す人もいる。許されざることです。誹謗中傷までいかずとも昔みたいに“男らしく生きて”“ちゃんとしたきよしくんに戻って”という声も否応なく氷川さんの耳に入ります」(芸能関係者)
氷川自身、誹謗中傷には「言わせておけばいい」と毅然とした態度を見せるものの、ファンからの声は無視できなくなっていた。さらには、これまで「演歌歌手の氷川きよし」の活動を支えてきた人たちのなかにも、異論があったようだ。
「20年間、ステージやテレビで見てきた氷川さんの姿を愛してきたファンのなかには、その変化についてこられない人もいる。いままでのファンを捨てるのか、そうなれば彼を支えてきたスタッフの生活はどうなるのか。氷川さんに対して、身近な人からも“変化はほどほどにしてほしい”と苦言を呈されることがあったようです。
誰が悪いというわけではありませんが、そうしたすれ違いの積み重ねで、氷川さん自身も周囲のスタッフも“いったん歌の世界から身を引いた方がいい”と判断したようです」(前出・芸能関係者)
氷川と親交の深い音楽評論家の湯川れい子さんは、彼の心情をこう代弁する。
「活動休止についてはかねてから相談を受けていました。このコロナ禍で彼は想像を絶するほど疲弊していましたから。舞台やコンサートは彼が感染したら、スタッフも関係者も仕事がゼロになる。人一倍責任感の強い彼は外食もせず、家に誰もいれない孤独な生活を続けてきた。
その間もテレビやラジオの収録があり、レコーディングもあってまったく休めない日々が続く。もうパンク寸前でした。自分を保つため活動休止のためにあらゆる準備をして関係各所と調整し、ようやくその段取りが整ったということです。
休みの間、どう過ごすのかは聞いていませんが、イタリアのミラノやアメリカのロサンゼルスが好きなので、コロナが落ちついたら行くかもしれませんね。いまは恋人の影もないですし、当面は愛犬とゆっくりするつもりなんだと思いますよ」
氷川の知人は来年以降の氷川についてこう話す。
「よく“誰も知らない国に行きたい”と言っていました。あれだけの有名人は日本だとゆっくり休むのも一苦労です。欧米には性別にとらわれず、個人を尊重する文化が根付いた国もありますから。理想の自分になるために、どんどん変化を受け入れていくつもりだと思いますよ」
徹底的に自分らしく──その思いを実現するため、氷川のラストスパートが始まった。
※女性セブン2022年2月10日号