(出典 www3.nhk.or.jp) |
東京の市中感染、クリスマスに始まれば2月に3000人超えか AIが試算 開始時期が封じ込めのカギ
新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の市中感染が大阪府で初めて確認された。人工知能(AI)の試算では、市中での感染拡大と年末年始の人の動きが重なると、東京都の新規感染者は3000人に達する可能性がある。専門家は改めて、年末年始の基本的な感染対策の徹底を呼び掛けた。(沢田千秋)
試算は、名古屋工業大の平田晃正教授(医用工学)らの研究チームが行った。過去の感染者数や主要駅の人出、大型連休の影響、ワクチンの感染予防効果などをAIに学習させ、これまでの感染状況の傾向を基に、今後の感染者数を計算した。
その結果、新規感染者数は、都内での市中感染の開始時期が早ければ早いほど増えることが分かった。オミクロン株の感染力は、今夏の第5波を起こしたデルタ株の3倍に設定。市中感染の開始を12月25日と仮定すると、東京都の新規感染者は2月に3000人を超え、3月も3000人以上で推移する。市中感染開始を1月半ばまで遅らせることができれば、ピークは2月下旬になり、新規感染者も2000人余に抑えられる計算だ。
市中感染の開始時期と感染拡大の関連について、平田氏は「年末年始の長距離の人の流れ」を指摘。帰省や旅行、忘年会、新年会などで普段会わない人と会う機会がウイルスを伝播でんぱさせ感染拡大につながるという。このため「それなりに感染が広がった後で年末年始を迎えると、感染者が急増してしまう」と言う。年末を前に、いかに市中のウイルス量を抑えるかが重要になる。
市中感染を遅らせるカギを握るのが水際対策だ。これまで、政府は検疫を強化し、自治体が濃厚接触者や感染経路を特定して封じ込めを図ってきた。平田氏は「これからも年末までの水際対策は非常に重要だ。世界の動向を見ても、日本はなんとか粘っている」と評価する。
今後のオミクロン株の感染拡大は、その感染力に大きく左右される。厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は22日の会合で、オミクロン株の感染力の強さと大阪府の市中感染に言及し「今後、感染拡大が急速に進むと想定すべき状況」と分析。座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は、マスク着用や3密の回避、換気の徹底に加え、年末年始も「混雑した場所を避け、発熱等の症状があれば県をまたぐ移動は控えることが必要」としている。
東京新聞 2021年12月23日 06時00分