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海外から帰国した人に国が2週間の自宅待機を求める中、この水際対策が十分機能していないのではないかと思われるケースが広島県内で起きていました。感染拡大が続くインドから広島市内に帰国した家族のケースです。
「インド株っていうのが、感染力も強いし、重篤化もしやすいっていうことで、すごく、不安だったので、一番によぎったのは、何の株なんだろうかというところ。それが、ほかにいかないようにしなければという危機感がありました。」(先月、駐在先のインドから帰国した男性)
この男性は、家族と一緒に先月29日、駐在先のインドから帰国しました。PCR検査で陽性となり、広島市内で自宅療養しています。
「インド自体が去年の3月にロックダウンを取り入れて、全くそのときは家から出られなかったので、そこから1年の間でほぼ半年くらいは家の中に引きこもっている状態。けっこう縛られた生活です。」(夫の駐在先のインドから帰国した女性)
帰国前、インドのデリーで受けたPCR検査は、家族全員が陰性でした。羽田空港に着いた後の検査でも陰性でした。検疫所では、3時間近くに渡って連絡先を提出したり、帰国後の行動について、さまざまな注意を受けたりしたそうです。
「これが、OELというアプリケーションで、自分の現在地を『今、ここ』というボタンを押すと報告されるという…」(インドから帰国した男性)
現在、インドなど入国拒否対象地域となっている国から帰国した日本人は、空港の検査で陰性が確認された後も次の日から14日間は自宅待機することになっています。厚生労働省からは毎朝11時に健康状態確認のためのメールが送られてきます。
「一番下の子どもが熱を出し始めてから、その通りに『はい』という形で報告していました。」(インドから帰国した男性)
子どもの1人が発熱したのは帰国から2日後でした。すぐに広島市の相談窓口や病院に連絡してPCR検査を希望しましたが、受け付けられませんでした。厚労省の担当者にもPCR検査を受けたいと要望しました。
「なんですが、そのときには、『市の保健所が担当になるので、そちらに連絡してください』ということで、『熱があるだけということで理解しました』というので、電話を切られました。」(インドから帰国した男性)
そうこうしているうちに家族全員に発熱などの症状が現れました。
「空港では陰性でいったん入ってきたけれども、もしかしたらインド株を持っていて、わたしたちをもとに感染が広まってしまったっていうふうになったら、迷惑をかけてしまうかもしれない。そこがまず一番にありました。」(インドから帰国した男性)
「一番は誰かがコロナを持ち帰ったんじゃないかと不安だったので、その不安をぬぐうために何か方法はないかと調べて、ネットで注文して…」(夫の駐在先のインドから帰国した女性)
家族が頼ったのは市販の検査キットでした。さっそく妻が検査をして、結果は陰性と出ましたが、別の子どもの具合が悪化。検査ができたのは、帰国から6日後でした。そして、家族全員の「陽性」が判明しました。
夫婦は、インドから帰国した家族が全員、陽性となった情報が広島市と厚労省とで共有されていないのではないかと考えています。
「報告をするというツールはどこにもありません。厚生労働省がいろいろ情報収集をやっていると思っていたんですけれども、あまり水際対策として機能してないのかなという印象がありました。(差別は)あってはいけないことだけれども、今、いろんなところで差別的なことを言われたり、されたりっていうことを恐れている方がたくさんいらっしゃる。わたしたちの帰国は歓迎されないのかなっていう不安とか悲しみはすごくありました。実際、今、コロナになってしまったっていう申し訳なさというか、世間の目は怖いなっていうのは実際あります。」(先月、インドから帰国した男性)
「やはり、そこは水際対策でしっかり強制隔離して、何度もPCR検査を受けて、本当にだいじょうぶだというレッテルを貼ってもらわないと、わたしたちも自信をもって世の中に出られないなっていうのは感じました。」(先月、夫の駐在先のインドから帰国した女性)
RCC