東京オリンピックの開幕まで残り4日と迫った19日、開会式で楽曲を担当するミュージシャンの小山田圭吾氏(52)が辞任した。開幕直前の辞任劇に、大会関係者や有識者、街の人からは厳しい声が聞かれた。
小山田氏の辞任は、3月の演出総合統括者に続き、大会理念に反する言動が原因だった。
東京五輪はビジョンの一つに「多様性と調和」を掲げ、大会関係者は「オリパラ一体」と繰り返してきた。小山田氏が障害者とみられる同級生2人をいじめていたことはこの理念に反する。19日に記者会見した大会組織委員会の中村英正・大会開催統括は、いじめについて触れた過去のインタビューについて「(誰も)そういうことは聞いていなかった」と釈明した。
組織委関係者は「人間として許しがたく辞任は仕方ない。開幕直前までいろいろなことが起き、本当にこの大会は呪われている」と嘆いた。
海外メディアも相次いで報じた。AP通信は「コロナの大流行に悩まされている大会にとって、最新のスキャンダル」と指摘。米NBCニュース(電子版)は「差別的に暴力的な行為をした人が関わる資格があるか」とのツイッターの投稿を引用して、批判的に論じた。小山田氏は早々にSNS上で謝罪。組織委も続投…(以下有料版で、残り1536文字)
毎日新聞 2021/7/19 21:11(最終更新 7/20 02:00)

楽曲担当
【小山田圭吾】謝罪する 開会式へ不快な印象を与えてしまうことを心から申し訳なく思います

【小山田圭吾】謝罪する 開会式へ不快な印象を与えてしまうことを心から申し訳なく思います
23日の東京五輪開会式で楽曲を担当するチームの一員に任命されたミュージシャン小山田圭吾氏が16日、過去に雑誌などでいじめを告白したとして問題視されている騒動についてコメントを発表。「多くの方々を大変深いなお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
◆謝罪全文
この度は、東京2020オリンピック・パラリンピック大会における楽曲制作への私の参加につきまして、 多くの方々を大変不快なお気持ちにさせることとなり、誠に申し訳ございません。 心よりお詫び申し上げます。
ご指摘頂いております通り、過去の雑誌インタビューにおきまして、学生時代のクラスメイトおよび 近隣学校の障がいを持つ方々に対する心ない発言や行為を、当時、反省することなく語っていたことは 事実であり、非難されることは当然であると真摯に受け止めております。
私の発言や行為によって傷付けてしまったクラスメイトやその親御さんには心から申し訳なく、 本来は楽しい思い出を作るはずである学校生活において、良い友人にならず、それどころか傷付ける立場に なってしまったことに、深い後悔と責任を感じております。
学生時代、そしてインタビュー当時の私は、被害者である方々の気持ちを想像することができない、 非常に未熟な人間であったと思います。 記事の内容につきましては、発売前の原稿確認ができなかったこともあり、事実と異なる内容も 多く記載されておりますが、学生当時、私の発言や行為によってクラスメイトを傷付けたことは間違いなく、その自覚もあったため、自己責任であると感じ、誤った内容や誇張への指摘をせず、当時はそのまま 静観するという判断に至っておりました。
また、そういった過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにも関わらず、 これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかったことにつきましても、とても愚かな自己保身で あったと思います。
それにより、当時のクラスメイトだけでなく、学生時代に辛い体験をされた方々やそのご家族、 応援してくださるファンの方々に対しても、不誠実な態度を取り続けることになってしまいました。本当に申し訳ありません。
学生当時、私が傷付けてしまったご本人に対しましては、大変今更ではありますが、連絡を取れる手段を探し、 受け入れてもらえるのであれば、直接謝罪をしたいと思っております。
今回、私が東京2020オリンピック・パラリンピック大会に携わることにつきまして、否定的なご意見を 頂くのは尤もであると思います。 また、このコロナ禍において、国民の皆様が不安を抱えるなかでの大会開催に関与することへの 疑問のご意見も頂戴しております。
本来であれば、様々な理由から、私の参加にご不快になられる方がいらっしゃることを考慮し、 依頼を辞退すべきだったのかもしれません。 しかし、課題も多く困難な状況のなか、開会式を少しでも良いものにしようと奮闘されていらっしゃる クリエイターの方々の覚悟と不安の両方をお伺いし、熟考した結果、自分の音楽が何か少しでもお力に なれるのであればという思いから、ご依頼を受けるに至りました。
そのうえで、今回の音楽制作にあたりましては、自分なりに精一杯取り組んで参りました。 それは、私だけではなく、他のクリエイターの方々も同様であると思います。 故に、私の関与により、開会式へ不快な印象を与えてしまうことを心から申し訳なく思います。
この度、様々なご指摘を頂いたことで、あらためて、自分自身の在り方について振り返り、反省と再考を させて頂く機会を得ました。 それにつきましては、ご意見をくださった皆様に、感謝すべきことだと感じております。
私が傷付けてしまったクラスメイトご本人へはもちろんのこと、長年の私の不誠実な態度により、 不信感や不快感を与えてきてしまったファンの皆様や友人たち、関係者の皆様に、心からお詫び申し上げます。
一人の人間として、また、音楽家としてどう在るべきか、自分は世の中や周囲の人々に対して、 どういったかたちで貢献していくことができるのか、常に自問自答し、より最善の判断をしていけるよう、 一層の努力をして参りたいと思います。
小山田圭吾 2021年7月16日
スポーツ報知