(出典 static.tokyo-np.co.jp) |
茨城県内で変異した新型コロナウイルスの感染が拡大している。日立市の飲食店「スナック レイ」では、変異型に21人が感染し、クラスター(感染集団)が発生したとみられる。経営者の男性(52)は「万全の感染防止策を取っていたが、感染力の強さに勝てなかった」と語る。
男性によると、客には店の入り口で検温と手の消毒を求めていた。店内に空気清浄機を置き、テーブル席にはアクリル板を設置。カウンターにもシートの仕切りを設けていた。
従業員は全員、フェースシールドとマスクを着用して接客した。木製のマドラーを使い、1人1本の使い捨てを徹底していた。
それでも感染は広がった。男性はカラオケによる飛沫(ひまつ)が原因とみている。経営する他の店では、カラオケを撤去したという。新型コロナが完全に収束するまで使用しないつもりだ。
「従業員がうつした」風評に客足遠のき、閉店決意
県によると、「スナック レイ」での集団感染では29日現在、感染源は判明していない。ただ、男性は「従業員がうつしたという情報が根拠なく広まってしまった」と憤る。客が戻ってくることはないと考え、20年以上続けてきた店は閉店を決めた。
男性によると、3月に店を訪れた客が4月1日、自身の新型コロナ感染を従業員に連絡。翌2日には店の関係者ら約40人がPCR検査を受け、従業員の感染が相次いでわかったという。
市内では4月1日時点で、200人を超える新型コロナ陽性者が判明していた。地域ですでに、感染が広がっていた可能性もある。
「僕の所から(クラスターが)出たのは間違いない。だけど、その前に感染の発端がある」。男性はそう考え、「それをはっきりさせてほしい」と保健所に訴えた。感染源は不明だと伝えられたという。
店に関連した変異型陽性者は、従業員と客だけで21人。家族の感染も確認されている。一方で、客の中には東京へ行き来していた人もいる。客の職場でも、変異型の陽性者が確認されている。こうしたことから、県は感染源を特定することは難しいとしている。
読売新聞