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6/29(火) 8:53配信
読売新聞オンライン
7月2日から公開される、ハリウッド版「ゴジラ」シリーズの最新作「ゴジラVSコング」。1962年の東宝映画「キングコング対ゴジラ」以来、約60年ぶりに日米を代表する怪獣が激突する話題作に、小栗旬が出演している。念願のハリウッドデビューを「夢が一つかなった」と喜ぶ一方、「悔しさの方が大きい」とも明かす。その理由とは――。(文化部 山田恵美)
小学校の卒業文集に
両親の影響で、幼い頃から多くの洋画を見て育った。「いつか自分も『ここ』に参加するんだ、という思いが自然と芽生えた」。小学校の卒業文集に、<夢はハリウッド進出>とつづったのを覚えている。
「予想外」のチャンスが訪れたのは、3年ほど前のことだ。シリーズの前2作で渡辺謙が扮(ふん)した、科学者にしてゴジラの擁護者、芹沢猪四郎。自然と科学の間で葛藤し、物語を象徴する存在でもあった彼の息子として新たに登場する、芹沢蓮役に抜てきされたのだ。
「小栗の語学力では難しいという声もあったけど、これは頑張ろうと」。アクティング(演技)講師の指導を受け、英語のセリフを猛特訓して撮影に臨んだ。
蓮は、巨大怪獣によって破壊された世界の再建を目指すハイテク企業「エイペックス」社の主任研究員。「偉大な父とは違う信念の持ち主」との設定に、魅力を感じたという。
日本でもう味わえない「新人」気分
「ブレア・ウィッチ」などのホラーで知られるアダム・ウィンガード監督は、テストもカットもせず、現場でカメラを回し続けた。「『みんな色々やってみてよ』って。『リセット!』の声で、一つの場面を何度も繰り返す。ぜいたくなやり方だなぁと」
コイツはどんな芝居をするんだ?「試されている雰囲気」とともに、「懐の深さ」も実感した。「日本ではもう味わえない新人の気分。絶対、いま相手にされてないよなっていう瞬間もあったけど」。それでも幸せだったと振り返る。
「落ち込みました」「このままでは終われない」
だが、その後、制作方針が大幅に変更された。人間ドラマのパートが減り、怪獣対決が前面に。「撮り直しにもなって、落ち込みました。オレの演技が足りなかったんだろうな」。完成した映画では、他のキャストとは異なる孤高の存在感を放っているが、「悔しさしかない」と率直だ。
「英語のアクセントだの何だの、そんなのどうでもいいやって、芝居してくりゃよかったのに。足りなかったのは、役者としてのプライドかもしれない」
2022年放送予定のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、主人公の北条義時を演じる。乗馬や日舞の稽古でせわしない日々を送っていても、英語のトレーニングは欠かさない。「だって、このままでは終われないじゃないですか。いつか、必ず取り戻しに行こうと思っています」。サバサバした表情を見せた。