2年前から始まったコロナ禍による生活の変化は、家電業界やビジネスにもさまざまな変化をもたらした。その中でも新しいカテゴリーとして広がりを見せているのが、「セカンド冷凍庫」だ。
三菱電機「MF-U12G」は定格内容積121L(実勢価格4万4040円・税込)。このほか、144Lモデルも用意
これまで家庭における冷凍冷蔵庫といえば、家族の人数に合わせた大型モデルがキッチンに置かれているのが一般的で、複数台あるのはレアケースだった。しかし、いま2台目となるセカンド冷凍庫が広がっている。
その最大の理由は、巣篭もり生活を経験したことによるライフスタイルの変化。備蓄食品の増加に加え、お取り寄せや出前の拡大による内食の拡大だ。
日本冷凍食品協会によると、家庭用冷凍食品の生産数量は2015年以降、前年比100%強、が続いていたが、20年に前年比111.4%と大きく伸長、21年は生産数量79.9万トン(前年比103.6%)と、過去最大量を記録している。
この増産が続く冷凍食品を保存するために、セカンド冷凍庫を買い足す家庭が増えているというわけだ。
設置性の高いスリムタイプが人気
小型冷凍庫を手掛けるメーカー各社に確認したところ、ほとんどのメーカーがこの数年、小型冷凍庫の売り上げを伸ばしている。冷凍庫の販売実績について、例えばハイアールジャパンセールスは「19年から21年にかけて、130%以上伸びている」としており、三菱電機は「22年の4月~6月の累計販売台数は前年比二桁で伸長している」と語る。具体的な出荷数は各社非公開だが、コロナ前と比べると右肩上がりの状況だ。
セカンド冷凍庫で特に人気なのが、リビングや寝室などの空いたスペースに設置できる、専有床面積の少ないスリムタイプだ。三菱電機では、コンパクトながら121Lと大容量の「MF-U12G」の出荷台数が伸びているそうだ。
21年7月に発売したあと、想定の2倍以上の売れ行きとなり一時的に品切れにもなったのがアクアの「AQF-SF10K」。横幅わずか36センチメートルで、こちらも設置性が高い。それでいて107Lの定格内容積を実現しており、買い物カゴ2つ分の食材を収納できる点がヒットの理由だ。
19年参入のアイリスオーヤマは売り上げ10倍
冷凍冷蔵庫市場で注目の存在となっているのが、アイリスオーヤマだ。近年、エアコンや洗濯機など大型家電にも参入。19年より冷蔵庫、冷凍庫も手がけている。参入初年の19年と比べて、21年は冷凍・冷蔵庫全体の販売数が約10倍まで伸びているという。この冷凍冷蔵庫の出荷拡大を牽引しているのが、幅35.6センチメートルの「スリム冷凍庫80L KUSN-8A-W」だ。
これらのセカンド冷凍庫は引き出し(スライド)式を採用しており、食材を効率よく収納でき、整理しやすい点も売り上げにつながっている。業務用冷凍庫などでの採用例が多い、上蓋(ふた)式冷凍庫とは異なり、奥に入れた食材が取り出しにくいといった欠点がない。
現在、この引き出し式を採用したスリムタイプの冷凍庫は、三菱電機やアクア、アイリスオーヤマに加えて、日立、シャープ、ハイアールなど多くのメーカーが手掛けており、今後さらに注目度は高まりそうだ。
日立はデザイン性の高い「セカンド冷蔵庫」を提案
今年の第1四半期に、冷凍・冷蔵庫のカテゴリーで注目を集めたのが、日立の小型の冷蔵庫「Chiiil(チール)」だ。Chiiilは、一般発売の前にクラウドファンディングを実施。開始から1週間で目標額を達成し、最終的な支援総額は700%以上(728万円)にもなり、話題となった。
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