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<北京オリンピック(五輪):ジャンプ>◇混合団体決勝◇7日◇国家ジャンプセンター
高梨沙羅(25=クラレ)がまさかの失格から涙のラストジャンプを飛んだ。
新種目の混合団体で1番手を務めたが、1回目の飛躍後、スーツ規定違反となった。
その回の高梨の得点は加算されない状態となり、上位8チームによる2回目進出が危ぶまれたが、残り3人が奮起して8位通過。
高梨は目をうるませての2回目で98・5メートルを飛んで泣き崩れた。最終的に、日本は合計836・3点で4位に入った。
◇ ◇ ◇
スタートゲートに入った高梨の目は、ゴーグルの奥で涙でうるんでいた。飛び出すと、空中で踏ん張り、98・5メートルで着地した。直後、もう涙が止まらない。両手で口を押さえ、しゃがみ込んだ。
1回目のスーツ規定違反による失格後、憔悴(しょうすい)。チームメートへ謝罪の言葉を繰り返した。「大丈夫」という仲間の声掛けに最終的に「最後まで飛びます」と、自ら2回目も飛ぶことを決意。涙のラストジャンプとなった。
責任を感じた。スタッフに支えられながら歩き、立っているのもやっとの状態だった。トップバッターだった1回目。103メートルの大ジャンプだった。10チームの1人目終了時点で2位相当だったが、飛躍後の検査で失格した。太ももまわりのスーツのサイズが規定より左右各2センチ大きかった。
横川朝治ヘッドコーチは「選手は僕らの用意したスーツを着てそのまま飛ぶので。僕らスタッフのチェックミスです」と話した。
5日女子個人戦と同じスーツを着用していた。だが、この日は失格となった。大会期間中、体重をキープするのは難しい。スーツは体のサイズにルール内でギリギリ合わせて作られている。わずかな体重の変化でも規定より大きいとみなされる。さらに会場は標高約1600メートルに位置する。
氷点下約15度の極寒で筋肉も萎縮する。「寒さが厳しかった分、うまくパンプアップ(トレーニングによる一時的筋肉増大)できなかった」と同ヘッドコーチは分析した。
ドイツほか他チームにも失格者が続出の波乱の試合となった。日本は8位で2回目に進出。とてもジャンプを飛べるような状態ではなかったという。それでも高梨はルール内のスーツに着替え、気持ちを立て直して飛んだ。日本は4位まで上がった。
「やっぱり高梨じゃないとできないと思う」と同ヘッドコーチもたたえた。3度目の五輪は涙で幕を閉じた。仲間を信じ、自分を信じて、ベストを尽くす-。
北京の夜空に描いた軌跡はメダルだけがスポーツの素晴らしさではないことを、物語った。【保坂果那】
2/8(火) 0:57 日刊スポーツ